鹿も食わぬらしい


鹿も食わぬらしい
おびただしい数の<梅の実>が落ちていきます
静かな山里の梅の木は主を失ってから久しく
なかには数十年もの春がめぐりきては華やかに花を咲かせ
実がなり・・・やがて朽ち果てて落下する
この地の老婆は鹿さえも食わぬと嘆く
黄色く熟した実を集め私の掌に移してくれる
熟し過ぎて柔らな実は芳香を放つ
持ち帰ってもどうにもならない梅の実をもてあます
困惑顔の私にそれでも次々と拾いあげては渡してくる
昔語りの間に間にこの地の梅は無農薬で清浄だと言う
捨てきれないらしい
有難う・・・頂くね・・・
廃墟に寄り添う梅の大木は黄色い実を落し続ける
ああ 夏が・・秋が・・冬が・・春が・・・
幾ら年月を重ねても喜んで拾われることもなく
花を咲かせては実を落とし続けるのです
過疎の山里はこんなに淋しく悲しいことも有ります